これが私の個性です
2007年9月撮影
いまはなき電子書籍サイトRopLibで活動していた時期に撮りました。被写体は、もともとグラビア系の仕事をしていた人で、この時期には事務所に属しないフリーでした。すぐにスカウトの声がかかるだろうしフリーでいる期間は長くないと思いながら撮影に臨みました。案の定、一作品分を撮り終える前に事務所に所属することになり、電子書籍の制作を断念したのでした。
ロケ地は、とある海岸の岩陰です。上からの光が遮られ、横様に一方向から入ってくる光をレフ板で掬い上げています。
「女の子を、こんなピーキーな撮り方するのかよ」
商品撮影を専業とするプロのカメラマンから、なかば呆れられながら、そう言われたものでした。「いけませんか?」と訊いたら、「イヤ、良いよ」とのことでした。他にこんな撮り方をする人は、あまりいませんから、たぶん「これが私の個性」だと言って差し支えないだろうと思います。
撮影技法は学んで習得できるし、模倣できるものなので、カメラマンの個性とは言えません。
珍しいレンズを使うことで発揮されるのは、レンズの個性であってカメラマンの個性とは言えません。
「俺なら、この状況でシャッター押さないけどな」
と、プロが見逃してしまう状況で、そのプロに「悪くない、むしろ良い」と言わせるだけの写真が撮れたのは、私自身の個性が発揮されたわけですから、たいへん嬉しかったのを覚えています。
写真家を名乗って良いのは、写真でメシを喰える人だとすると、この時期も現在も、私は写真家じゃありません。営業写真館でカメラマン代理をやっていた数ヶ月だけが写真家でした。そんな私に
「写真作家で通用すると思うよ」
と、言ってくれたのが、その商品撮影を専業とするプロのカメラマンでした。たぶん名刺の肩書きに「写真作家」と書き加えるだけのことでしょうが、なにやら気恥ずかしくて、いまだに実現させておりません。
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「たぬき写真工房が、いまはなき電子書籍サイトRopLibで活動していたのは2004年から2010年くらいの時期でした。その頃はグラビア系の電子写真集を有料で配信していました。RopLibがサービス終了となってからは、商品と呼べるようなものを世に出しておりませんでしたが、昔とった杵柄とやら、久々にグラビア系に挑戦します」(巻頭挨拶より)
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