アスティアの色合い
2004年12月撮影
ハッセルブラッド500C/Mに、フジクロームアスティア100Fを詰めて撮りました。中判のポジフイルムは週刊誌の巻頭グラビア頁の印刷原稿に使えるほどの解像度があり、また、中判ゆえに35mmフイルムとは段違いのボケ味を発揮できました。
その頃「スゴイなぁ」と感心していたことがあります。
もはや21世紀に入って、誰の目から見ても写真のデジタル化は歴史的必然とわかっていたにもかかわらず、フイルムの新製品が開発されていたことについてです。フジフイルムのアスティア100F(Astia100F)は2003年7月に発売されました。この頃、第一線のプロたちが雪崩を打ってデジタルに移行していましたから、アマチュアには手を出しにくいポジの新製品が出たのは意外でした。
私はアマチュアレベルの撮り手でありましたが、この時期になるとプロ向けの現像所では仕事が減ってきて、私くらいの半端者でも歓迎して貰えました。有名プロのアシスタントらしき人が、ドッサリ未現像のフイルムを持ってきた脇で、私が現像あがりを受け取るなんてこともありましたが、プロラボだからこそ、他人様の現像上がりを覗きこんで口を挟むような無礼者は一人もいませんでした。
アスティアは落ち着いた色合いで、明暗の表現が柔らかく、ポートレートには特に適していました。中判のスキャンは自前で1コマずつ手間暇かけてやっていたので、1コマごとに愛着があります。そのうえで思ったのは、アスティアの発色が自分にとっての標準だということです。他の銘柄では、これほどの相性の良さは感じられませんでした。
なにごとにも終わりがあります。アスティアは2012年3月をもって廃番になりました。フイルムは買いだめが出来ません。消費期限を過ぎたフイルムは色調が変わってしまうからです。残念ながら、もう、アスティアは手に入りません。
富士フイルムのデジタルカメラでは、フイルムシュミレーションという機能があり、かつて存在した銘柄に近い味わいを表現できるとのことですが、作例写真を見たかぎりではアスティアの色合いは「コレじゃない」と思いました。たいへん興味はあるのですが、さらに忠実な再現が可能になったなら導入を検討したいです。
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