「感じたまま」は通りません
2012年12月撮影
組み写真は、流れと繋がりを持たせた写真の並び順によって、ナラティブを表現します。私は20年近く組み写真をつくってきて、構造は文章表現の手法を応用できることを悟りました。
文章に帰納法と演繹法があるのと同様に、組み写真も最初と最後の写真を入れ替えることができます。ここにアップした4枚組は「起承転結」を意識して並べてありますが、最初と最後を入れ替えても流れは出来るし繋がりも維持されます。
写真を組むための基本文法みたいなのもあります。メインの被写体が右を向くか左を向くかなどで、写真には「向き」が生じます。同じ向きのを続けて並べるよりは向きを変えて並べる方が良いということと、隣同士の写真でメイン被写体の頭の大きさを変えることです。類似カットを並べても全体の状況が流れて行かないので、格別な狙いがあるとき以外、類似カットをズラズラ並べることは避けます。ただし、文章表現の禁則に例外があるのと同様、写真の組み方にも様々な例外があります。
そんなわけで、いつも組むことを意識して撮っておりまして、いつもバリエーションを考えていて、いつも左右の向きを両方撮るように心掛けています。私の「考えて撮る」スタイルは、そういう理由があってのことです。「おっ、いいな」と感じたままにシャッターを押していては組めない写真になってしまいます。
いまはなき電子書籍サイトRopLibで活動していた時期に、口さがない写真仲間から「組む技術なんて、すぐに模倣できるから学ぶに値しない」みたいなことを散々いわれたので、「ならばキサマも電子書籍を出して見せろ。話の続きはキサマの作品が世に出てからだ」と挑戦状を叩き付けました。しかし、それらのなかにRopLibの審査に通って公開に漕ぎ着けるところまで追ってきたヤツは一人もいませんでした。
単写真は一発勝負だから、運もあれば、マグレもあります。ピントはAF、露出はプログラムオートで、なんら工夫も無く、さしたる考えも無く、「おっ、いいな」と感じたままシャッターを押していれば、そのうち良いのが撮れることもあるでしょう。組んでナラティブを表現しようと思ったら、その手は通用しないのです。
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いまはなき電子書籍サイトRopLibがサービス終了となってからは、商品と呼べるようなものを世に出しておりませんでしたが、昔とった杵柄とやら、久々にグラビア系に挑戦します
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