sppc666のブログ

写真とは「真ヲ写ス」こと

親愛の情で撮りました

2005年6月撮影

 

 私が「たぬき写真工房」という看板を掲げてRopLibという電子書籍サイトで活動していた時期に、看板モデルの一人だった人です。ときに神々しいほど美しい表情を見せる人でした。惜しいかな、その表情をカメラで捉えることはできませんでした。レンズが向けられていない、緊張が解けたときじゃないと、あの表情にはならなかったのだろうと思います。

 ブログというものが流行りはじめる少し前、この人は個人サイトを運営していましたが、いわゆるネットアイドルとも違っていました。なにか自己表現をしたいが、なにをどう表現すべきか自分でもわからなかったんじゃないかと思います。

 ずいぶん気まぐれな人でしたが、撮影をすっぽかしたり、ドタキャンしたことは一度もありませんでした。気分が不安定で、連絡が途絶えることもあったけれど、撮影には休まず遅れず、必ず来てくれました。

 私が某撮影会のスタッフとして一部門を任されていたとき、この人を撮影会モデルに起用したことがありました。そのときの参加者さんから「兄妹のようだな」といわれたのを覚えています。顔が似ているとかじゃなくて、互いに異性としての関心がないせいで会話に遠慮が無い様子を見て取ったのだろうと思います。まさしく御明察で、この人に対して親しみはあったけれど、恋愛感情に類するものはありませんでした。

 そういう関係性は、写真にも影響するでしょう。長い年月を経て、あらためて見返すと、たしかに恋慕の情を込めて撮った写真じゃないと思えます。

 中級者と呼ばれていた素人カメラマンが上級者と呼ばれはじめる頃、アンダー(暗くする)方向に振るようになるものです。それは「中級者と違う写真が撮れる」という自己アピールを、無意識のうちにやっているのでしょう。この投稿の5枚目は、まさにそんな感じの写真です。カメラ任せだとこうは撮れませんし、入射光式露出計でキッチリ測ってもこうはなりません。要するに「狙ってはずしている」ことをアピールしているわけです。それを思うとチョット恥ずかしい写真です。