sppc666のブログ

写真とは「真ヲ写ス」こと

スクエア趣味の原点

2004年頃?

 むかしは6×6(ろくろく)と言えば写真好きには通じたのですが、いまはどうでしょうかねぇ。一般的なフイルムが35mm幅だったのに対し、中判は60mm幅のフイルムを使いました。カメラによってフォーマット(画面サイズ)は6×4.5、6×6、6×7、6×8、6×9、6×17といったように多様でした。そのなかで、私が愛用していたカメラは6×6のスクエアフォーマットでした。

 

 いまも私は出版業界の端っこに居て、雑誌記事の片隅に載せる説明用の小さい写真を撮ることがあります。デジタル化される前、説明用写真は35mmネガフイルムで撮っていましたが、表紙近くのグラビア頁に載せる写真は本職のカメラマンが中判のポジフイルムで撮りました。グラビア頁の印刷原稿に必要な解像度が35mmでは足りなかったのです。

 

 父の死後、秘蔵していた高級カメラが何台か見つかり、形見分けで私が譲り受けたのが6×6でした。かつては「乗用車の値段がする」とも言われたハッセルブラッドです。入手したとき、すでにデジタル化の波が押し寄せており、35mmはデジタルに置き換えられつつありました。数年後には中判さえもデジタルに置き換えられています。営業写真館で撮影する家族写真なども中判からデジタルに移行し、中判は実用性を失いました。

 

 風前の灯火に見えた中判は、6×6のトイカメラのヒットによって命脈を保ちました。いまでも中判フイルムの製造は続いており、現像も引き受けて貰えます。もっとも、フイルムの種類は減りました。かつては色が強くなるタイプ、発色が控えめな人物撮影に向いたタイプなど何種類かがありましたが特徴を持つフイルムは廃番になっています。

 

 私が写真を業務とは関係なく趣味として撮るようになったのはデジタル黎明期のことでした。そのあと正方形に撮れる6×6を入手して、スクエアフォーマットの良さを知ることになりました。そして、一時期はフイルムへの回帰を試みていました。数年間はデジタルと6×6を併用していたのですが、デジタルの解像度が中判を追い越したのは私の節穴のような目でも判りました。そして、もう一つ気づいたことがありました。中判のボケ味は、レンズの選択と撮る人の技量次第で再現出来そうだということです。

 愛用の6×6は、絞り開放で最短撮影距離まで寄ると、被写界深度は1㎝くらいになるようで、撮影者と被写体が5mmずつ動けばピンボケです。屋外で花を撮るときには三脚が欲しくなります。せめてカメラ側だけでも固定しておけば、微風で花が揺れる分だけで済みますからね。デジタルでも、それくらいピントを薄くすることは、まあ、出来なくもないのです。単焦点の明るいレンズを使えば、そうなります。

 

 いまはスクエアフォーマットもデジタルカメラで設定できるようになりました。ボケ味も、スクエアフォーマットも再現出来るとなれば、もうフイルムへ回帰することは無いかもしれません。そう思いながらも、形見の6×6は、まだ棚に残してあります。猫を撮るときなど、スクエアフォーマットで撮っておりますが、その原点にあたる6×6なので手放せないのです。