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写真とは「真ヲ写ス」こと

はじめての「仕込み」でした

2003年6月撮影

 撮影して、並び順に意味を持たせつつ写真を選別して、半日のうちに組み写真を完成させる、スパルタ式の講座で撮ったものです。

 モデルを独占できる持ち時間は、午前と午後で3分ずつ。昼休みに衣装を着替えるので、午前と午後の両方を使うためには場面転換させる必要がある……というルールでした。こんな苦行を、物好きにもカネを払ってやっていたのです。

 この日は、前日にシノプシス主題、登場人物、舞台などを設定した粗筋)を書いたうえ、小道具として文庫本を持ち込みました。ロケ地は哲学堂公園で、入口の門にかけられた看板には「理想」だの「論理」だのと小難しい言葉が書いてあります。このときのモデルは役者さんでしたので「思索にふける表情で」と言えば、そのような表情を即興でやれる人でした。

 このとき参加した連続講座では、毎回、誰がモデルをやるか事前にアナウンスされましたが、ときに駆け出しのアイドルだったり、まったくの素人をスカウトしてきたり、事前に準備するにも相手の属性に合わせて考えなければなりませんでした。このときは役者さんなので、即興で表情づくりが出来ると踏んで、あらかじめシノプシスを書いておいたのです。

 そうはいっても想定外のことは起きるものです。

 終盤で登場するネコは何度か出くわしたことがあって、私から「おーっす」と声をかければ「ニャーン」と答えるくらいの知り合いでした。自分の持ち時間が回ってくるまでの待機中、このネコに出くわしたので急遽出演を依頼したというわけです。私はネコを手懐けるのが得意ですが、ネコとモデルさんの馬が合うかどうかは出たとこ勝負です。モデルさんは活溌すぎるくらいの人だったので、大丈夫かなぁと不安はありましたが、ネコを撫で回したあと指先で突き、ネコがパンチで応戦するというオマケがつきました。

 さすがに面白すぎて、前半からの流れに乗らないので、この一枚は組み写真に使いませんでした。

 ともあれ、写真を組めば言葉によらずストーリーらしきものを匂わせることが出来ると、おぼろげながらわかってきたのが、このときでした。