sppc666のブログ

写真とは「真ヲ写ス」こと

ときに誘導されます

2021年4月撮影

 見知っているネコです。地域の人たちからエサは貰っているようですが、飼い猫でもない、いわゆる地域ネコなのでしょう。人慣れしていて、私にも撫でるくらいのことは許してくれます。抱き上げるのは無理でしょうけどね。

 ときにネコは、構おうとする人を誘導することがあります。撫でようとして近づくと不意に背中を見せて歩き始めるのです。逃げるのと違って、ゆっくりとです。このとき私が誘導された先は、野の花が咲いている小さな空き地でした。

 どうせ撮るなら、お花と一緒にね。

 と、言わぬばかりの行動でした。何枚か撮ったら、今度は日陰に入ってマッタリと。撮影のためのサービスタイムは終了みたいです。どこまでヒトの行動を悟っているのかわかりませんが、けっこう気遣ってくれているのは察せられます。

新キャラ登場・仮題『スクエア』

2022年6月撮影

 撮りたてホヤホヤです。ヒロイン役、たかはしまいさんが白い服を着ているのに、咲いているアジサイは白が多くて、撮りづらかったです。そして、雨の情景もまた良いかと思っていましたが、撮影中は一粒も降りませんでした。それどころか、雲の晴れ間から射し込む光が強すぎて、日陰を探したほどでした。たかはしさんは晴れ女なのだそうですが、その効果は抜群みたいですね。

 物語の主役はハッセルブラッド500C/Mという50年前に製造された中判6×6(ロクロク)のカメラです。上から覗き込んで撮るように出来ているので、撮影シーンは顔を伏せなければならず、ヒロインには申し訳ないと思っています。

twitter.com

 この物語の登場人物は、この日の撮影から一人増えました。青年……というほど頼もしくないが、少年というほど子供でもない、というキャラクターです。自分の親くらいの年齢であるハッセルブラッド500C/M(発売は1970年)を使うことになり、スマホを介して顔を知らない老人に教えを受けています。老人は持病の療養中で入退院を繰り返しているため暇を持て余し気味で「近頃の若いモン」に頼られるのは満更でもないようです。とはいえIT時代に取り残された老人なのでSNSはROM専、少年?とのコミュニケーションはメールという原始的な手段によります。互いに相手の顔を知らないまま、脳内に描いた相手の想像図……それが少年?の正体です。そんな設定はともかく、少年?は凄くカワイイので御期待ください。

sppc666.hatenablog.com

sppc666.hatenablog.com

sppc666.hatenablog.com

sppc666.hatenablog.com

 

オマカセで撮れました 後編

2022年5月撮影

twitter.com

 ゆいさんを撮るのは二度目でした。うまく呼吸が合って、撮影会一枠60分で4枚組を三つも組めるほど、効率よく撮れています。

 写真のセレクトは、こちらの自由にさせてもらっています。美意識は人それぞれだけれども、撮った側の美意識を尊重してくれるのが嬉しいです。また、こちらもモデルさんの美意識は会話しながら読みとるように努めています。そのうえで互いに信頼して歩留まりが良い撮影になったのかと思います。

 撮影会モデルだけで食べている人って、おそらくいません。みなさん他に何か活動しておられます。ゆいさんはヴァイオリン演奏家です。ほかの人も様々に活動していますから、それら他分野での影響からなのか、価値観や美意識が大きく違いますね。

 なかには撮影会で撮った写真を「ネットに掲載できるのはモデル側が加工したものだけです。掲載したい写真を送ってください、加工して返しますから」という条件を、撮り終えたあとで言ってくる人もいます。たしかに、SNSで見る顔立ちと、撮影会で見た顔立ちと、だいぶ違っていました。それがイケナイとは申しませんが、こちらとしては「誰が、どう撮ってもワタシは美しいのよ」と言わぬばかりに、自由に写真を掲載させてくれるモデルさんが好みですし、信頼できます。

 その点でも、ゆいさんは申し分の無い人です。機会があれば、また撮りたいです。

sppc666.hatenablog.comsppc666.hatenablog.com

sppc666.hatenablog.com

sppc666.hatenablog.com

 

 

 

おちゃめでチャーミング

2004年6月撮影

 中判6×6(ロクロク)練習のため撮影会に参加したときに撮った写真です。この頃120(ブローニー)フイルムのポジ現像は、プロラボなら翌日仕上がり、無理を言えば即日仕上げも可能でした。みるみるうちにフイルムが衰退していった時期なので、プロラボが素人カメラマンも歓迎してくれていたのです。

 

 写ルンです等、レンズ付きフイルムがあるかぎり35mmフイルムの現像は続いていくだろうと思いますが、中判のブローニーが絶滅せずに残ってくれたのは、たいへん有り難いことです。いまは現像に出すと10日くらいかかりますけれど、いや、残ってくれただけでも充分です。

 上の1枚目と2枚目、スクエアフォーマットの写真はロクロクで撮りました。3枚目と4枚目はフォーサーズ機で撮りましたので、ボケ味がかなり違います。いまでもフォーサーズはボケにくいなどと言われますが、ぼかせないのは技量の問題でもあります。ぼかそうと思って、きちんと撮ればフォーサーズ機でもボケますからね。撮影会で御一緒した初対面の人と、帰る道すがらフォーサーズ機でどれだけぼかせるか話題になって「論より証拠」とばかりに、公園の花を撮影しました。

 

 なにも考えずに撮るとピントは深くなりますけれど……

 

 ほら、ここまで寄ればボケるでしょう。こうやってですね……

 

 えっ?

 すでに撮影会は終了、解散していたのですが、不意にファインダーのなかへ再登場であります。どの撮影会でもモデルの出待ちは厳禁なので、どうしたものか、ちょっととまどったのを覚えています。しかし、待ち伏せを受けたのは我々の側でありましたし、いまとなっては時効でしょう。

 どうやらモデルさんは次の用事に向かうまで時間をつぶしたかったらしいです。そのあとは近くのファミレスで暫し中年オヤジ二人の写真談義に、おつきあいいただきました。それにしても、つまらなそうな表情してますね。気のきいた話題を出せず、まことに申し訳ないことでした。

セーラー服と古レンズ

2018年6月撮影

 

 亡父が隠し持っていたカメラ・レンズのなかに、80年代に製造されたと思しきものがいくつかありました。80年代といえば斉藤慶子宮崎美子大場久美子なんかの水着グラビアが週刊誌の巻頭を飾っていた時代です。まさにその時期が私の青春時代でした。その懐かしさを噛みしめたい、80年代のレンズなら、80年代アイドルっぽい写真が撮れないかと思って試してみたのが、このときです。

 その頃、標準レンズと呼ばれたのは50mm単焦点でした。まさにその標準レンズたる50mm f1.4で撮ったのが、1枚目と2枚目です。世評では「開放だと解像が甘い」ということですが、逆に言えば開放だとレンズの個性が出るんじゃないでしょうか? そういう狙いで、開放で撮りました。

 おつぎの3枚目と4枚目は80-200mmの望遠ズームです。製造年から考えれば極初期のAF機構がついていて、合焦は非常に遅いけれどもオートフォーカスです。絵柄の味わいは良いけれども動く被写体に対してAFは無いも同然で、ほとんど手動でピントを合わせました。

 どん尻に控えますのは、単焦点28mmです。このレンズは60年代製造ですので、一番の古株です。逆光でゴーストが入ってますが、それを「古いレンズの味」ということにして、そのまま御披露しております。

 モデルは、ほとんど撮影経験が無い人でした。旧型の白セーラー服、黒髪のボブカット、ほぼスッピンと、80年代テイストが出せるよう、御登場願ったのですが、中味はイマドキのJKといった性格でした。スカートの腹回りを折って丈を短くするのも現代風の着こなしですよね。その辺は仕方ないのです。

 

 モデルは素人なので「笑ってください」と注文したって撮影用スマイルは出来ません。なので撮りながらオヤジギャグを試みるのですが、この人の場合は反応が大きすぎました。箸を転がしたら、数分間腹を抱えて爆笑するくらいのお年頃です。とにかく、よく笑い、よく動く人でした。レンズのAFが遅いから、なるべくゆっくり動いて欲しいと注文したのに、不意に予測不能の動き方をされて難渋したのを思い出しました。マニュアルで撮ってたら、動く被写体にピントが合わせられませんからね。オマケの2枚みたいなピンボケを量産しました。

雨天決行の屋外撮影会

2004年6月撮影

 

 都心部の公園で開催された、アイドル撮影会で撮ったものです。デジタル化が進んできて、アマチュアもデジタルに乗り換え終わった時期でした。濡れたら修理に出さなきゃならないようなカメラが多いのに、デジタルカメラの雨対策が普及していなかったせいでしょう、雨天の屋外が敬遠され、モデル3人に対して参加者2人だったように記憶しています。

 このとき撮影会スタッフが……いなかったんですよ。アイドル事務所が主催して、参加者を募ったけれど、タレント3人を現場に送り出しただけです。

 屋外なのでスタジオ代がかからない。派出するのはタレントのみでマネージャーさえ立ち会わない。レフ板なしでレフ持ちの人員もなし。カメラの上に傘を差し掛けてくれるのは、手空きのタレント1人。そんなチープな撮影会でした。たしか私が着ていた白シャツを脱いで広げて、レフがわりにしたんだっけなぁ。

 個人撮影だったらモデルの位置を動かせますが、団体行動しなきゃならないルールでしたから撮りようが無かったです。しかし、タレントさんは元気一杯という表情を撮らせてくれて、人柄の良さを感じたものです。

 

 このとき冷たい雨だったから、ノースリーブでは寒かったでしょう。

 ほかの事務所のことですが、撮影会にタレントさんを3人呼んだら4人来て、1人はマネージャー代理だったことがありました。マネージャーがつくのは有望株だけなのでしょう。たぶん、よくあることなのだと思います。

はじめての「仕込み」でした

2003年6月撮影

 撮影して、並び順に意味を持たせつつ写真を選別して、半日のうちに組み写真を完成させる、スパルタ式の講座で撮ったものです。

 モデルを独占できる持ち時間は、午前と午後で3分ずつ。昼休みに衣装を着替えるので、午前と午後の両方を使うためには場面転換させる必要がある……というルールでした。こんな苦行を、物好きにもカネを払ってやっていたのです。

 この日は、前日にシノプシス主題、登場人物、舞台などを設定した粗筋)を書いたうえ、小道具として文庫本を持ち込みました。ロケ地は哲学堂公園で、入口の門にかけられた看板には「理想」だの「論理」だのと小難しい言葉が書いてあります。このときのモデルは役者さんでしたので「思索にふける表情で」と言えば、そのような表情を即興でやれる人でした。

 このとき参加した連続講座では、毎回、誰がモデルをやるか事前にアナウンスされましたが、ときに駆け出しのアイドルだったり、まったくの素人をスカウトしてきたり、事前に準備するにも相手の属性に合わせて考えなければなりませんでした。このときは役者さんなので、即興で表情づくりが出来ると踏んで、あらかじめシノプシスを書いておいたのです。

 そうはいっても想定外のことは起きるものです。

 終盤で登場するネコは何度か出くわしたことがあって、私から「おーっす」と声をかければ「ニャーン」と答えるくらいの知り合いでした。自分の持ち時間が回ってくるまでの待機中、このネコに出くわしたので急遽出演を依頼したというわけです。私はネコを手懐けるのが得意ですが、ネコとモデルさんの馬が合うかどうかは出たとこ勝負です。モデルさんは活溌すぎるくらいの人だったので、大丈夫かなぁと不安はありましたが、ネコを撫で回したあと指先で突き、ネコがパンチで応戦するというオマケがつきました。

 さすがに面白すぎて、前半からの流れに乗らないので、この一枚は組み写真に使いませんでした。

 ともあれ、写真を組めば言葉によらずストーリーらしきものを匂わせることが出来ると、おぼろげながらわかってきたのが、このときでした。